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私の場合、首に痛みを感じてぎくりとしたのが発端でした。やがてその痛みは、だんだんと腕のほうにも広がってきました。そんな状態になって初めて、コンピューターは便利である以上に厄介なものだと思うようになったのです。 そのときは、ショックのあまり呆然として、いすから立ち上がることもできませんでした。身じろぎひとつせず、忘我の境地に陥り、ふと気づけば、もう5時間も経過していました。この症状は、私の人生目標にとって、大きな障害になると思いました。ですから、1週間ほど理学療法を受け、首の損傷を直してもらったのです。 この問題について調べたところ、電子機器の使用により、同じような症状を抱えた人がいることがわかりました。 これはある女性の話ですが、目が乾き、普通に目を開けていることができなくなったそうです。 明るすぎるモニター画面を、間近で見つめていたのが原因でした。 彼女は、グラフィックデザインの明度評価の仕事をしていました。色調を「より近くで」見て、手に持った色見本とつき合わせる作業があります。 色見本の色調と画面の色を評価し、明度が合っているか判断していました。彼女は知らなかったのです。画面上に出力される色は、プリント出力した色とは違うということを。 そこで私は、彼女に次の点を改善するように言いました。 モニターの明度を最適化するとともに、画面に出力された色と色見本を突き合せないようにアドバイスしました。プリント出力の見本を作り、どういった光の下で作品を表示する場合でも、プリントした色と色見本をつき合わせること。 ときどき休けいを取り、目に負担のかからない色やものを見ること。コンピューターから離れ、窓から遠くの木を眺めて、目の体操をすること。 半年後、あるパーティでその女性に会いました。私のアドバイスに従ってからは、快適に過ごしていると言っていました。涙腺も、もとどおりです。もちろん、眼科医の治療も受けていますけれどね。 目の症状が改善されると、仕事がかなりはかどるようになったといいます。遠くの木を眺めていると、気持ちよく好きな瞑想ができ、瞑想した後で仕事に戻ると、すっきりして、仕事が驚くほどはかどるそうです。 白状しますが、驚いたのは私のほうです。私は、目に負担をかけない方法を、ほんのちょっとアドバイスしただけなのです。それなのに、こんなに驚くほどの効果があるなんて。 友人にもアドバイスしたところ、同じような結果が得られました。何年も痛みに苦しんできた友人を救うことができて、本当によかったと思いました。 私のアドバイスに効果ありと見た友人は、これを本にまとめて、同じような症状に苦しむ何十万もの人たちを救ってあげては、と言ってくれました。 こうして、私は本書「ヘルシーコンピューティング」を書くことにしたのです。 若い頃、コンピューター関連の病気に悩まされていた私は、友人、身内、整形外科医と、さまざまな人から助言をもらい、励まされました。 もう直らないから、その症状とうまくつきあっていくしかないと言う人もいました。痛みを抑える体操を教えてくれた人もいました。 それとは別に、検査を受けたり、薬を飲んだり、いろいろと治療を受けましたが、はかばかしい効果は得られませんでした。 こんなに症状がひどくなる前に、コンピューターの正しい使用法のガイドを読んでいれば、ここまで苦しまなくてもすんだのに、と思いました。 「経験は最上の教師である」と言います。
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